ベトナム国枯葉剤/ダイオキシン濃厚汚染地区における低体重児の発育改善プロジェクト(実施中)


2019年8月、金沢大学がビンディン省フーカット県で行うJICA草の根技術協力事業「枯葉剤/ダイオキシン濃厚汚染地区における低体重児の発育改善プロジェクト」が開始されました。この3年間のプロジェクトに、TLAGもメンバーの一員として参加することになりました。

 

金沢大学チームは、ベトナム戦争中に撒布された枯葉剤の影響が40 年以上経過した今日でも残っていることを明らかにしてきました。濃厚汚染地区の母親の母乳には対照地区に比べて平均 3-5 倍のダイオキシン濃度があること、また母親や幼児のホルモンにも影響を与え、低体重出生児が12%(対照地区 4%)と高くなっていることを示してきました。実はフーカット県はベトナム戦争中に米軍基地があり、枯葉剤の格納庫がありました。ただここが枯葉剤の悪影響が今でも残っているホットスポットであることはあまり知られていません。ここでは枯葉剤の影響は母乳を通して親から子へ、そして孫に伝わっているのです。

 

この3年間のプロジェクトはフーカット県の医療関係者やコミュニティのヘルスボランティア、そして母親に枯葉剤のダイオキシンの影響を適切に研修すること、そしてダイオキシンの影響と考えられる低体重児を特定し、発育を改善することを目的としています。このプロジェクトには、フーカット県立病院、環境省ダイオキシン研究所、ハノイ医科大学など多くの機関が関わります。2019年8月のベトナム訪問では、ハノイとフーカットでキックオフミーティングを行いました。金沢大学の長年の研究を、実際に母子保健プロジェクトとしてベトナムに還元する時が来ました。

 

今後、プロジェクトを進めていくためには多くの課題もあるかと思うのですが、フーカット県立病院の皆さんと日本側で力を合わせていきたいと思います。TLAGも最大限貢献できるように頑張っていきます!